オーナー店長であれ雇われ店長であれ、店舗ビジネスの売上や利益は店長の力量に大きく左右されます。
店舗運営とマネジメントの責任を一身に負う店長向けに、これまでの経験で培ってきたノウハウを紹介します。
目次
売上を上げるためには構成要素を分解して考える
店長たるものまずはお店の売上を上げなければなりません。
漠然と売上を考えるのではなく、売上を構成する要素を分解すると問題が見えやすくなります。
売上 = 客人数 × 客単価
客人数 = 顧客数 × 来店頻度、新規客数 + リピート客数、顧客担当者別、etc…
客単価 = フード売上単価 + ドリンク売上単価、新規客単価 + リピート客単価、顧客担当者別、etc…
問題とは理想値と現実のギャップであり、その問題を解決するために具体的な打ち手を考えます。
打ち手は「売上アップ効果」と「取り組みやすさ」を軸に、何から優先的に実行するかを検討します。
戦略的に考える
売上を上げるための具体的な打ち手を検討するプロセスは、戦略的に考えるという事が求められます。
よく使われる言葉でなんとなく理解しているつもりになってしまいがちですが、戦略的に考えられているかどうかは、
「〇〇という目的を達成するために、××という理由で△△をします。その実行の具体策は▢▢です」
と話せるかどうかで判断してみるとよいと思います。
値下げはリスクが高いのでよく考えて実行する
お店が暇だと「値下げした方がいいのかな?」と弱気になってしまうことがありますが、安易な値下げは売上の低下やコストの増加を招き、自分の首を絞めるリスクをはらんでいます。
例えば10%の値下げを実行した場合、売上の維持に必要な客人数UP率は11.1で、もともとの客人数が1000人だった場合は1111人の来店が必要になります。
利益の維持に必要な客人数はさらに多くなります。
リスクの低い値下げ方法としては、
・期間限定の値下げ
・ターゲットを限定して値下げ
・特定の商品だけ値下げ
・ポイントやクーポンで実質値下げ
などの方法があります。
キャッシュレス決済は導入すべき
もともとはクレジットカードや電子マネーなどのキャッシュレス決済は、「その導入で売上が伸びるか?」で判断すべきだと考えていました。
しかし2019年10月の消費増税に伴い、消費者還元事業者登録が始まり、キャッシュレス決済の導入は必須だと考えるようになりました。
キャッシュレス決済を導入して消費者還元事業者登録をしているお店での買い物には、消費者に対して5%のポイント還元が行われます。
オペレーションをちょっと効率的に回すテクニック
人手不足が進み人件費が上昇している中で、最少人数でオペレーションを回すことは非常に重要になってきています。
効率よくオペレーションを回すことができると人件費削減だけでなく、回転率も上がって売上UPにも貢献します。
単発バイトマッチングサービスを活用する
人手不足でアルバイトの採用がとても難しくなっていますが、単発バイトのマッチングサービスは結構反響があるようです。
単発バイトマッチングサービスとは、スマホアプリで位置情報から周辺の単発バイト求人を表示し、希望に合う仕事があればすぐに応募できるというサービスです。
バイト選びで大学生が最も重視する項目は、「勤務日数・時間・シフト変更・休みの融通がきくこと(22.8%)」が最も多くなっており、そういった若者に単発バイトのマッチングをスマホで提供する企業が増えて利用者が急速に増えています。
従業員に好かれる人間関係づくり5つのコツ
店長は従業員に嫌われると仕事がやりにくいです。
そして好かれるだけでなく、店長としての要求もしっかり通せる良好な人間関係を構築する必要があります。
店長を中心に職場の人間関係を円滑にすることは、運営をスムーズにするだけでなく、お店の売上を上げることにもつながります。
お店の中に多くの役職を作らない
1つのお店に多くの役職を設けるのはデメリットが多くお勧めできません。
ステップアップを感じさせたいとか、役割を分担したいとか、色々と考えはあると思いますが、私は基本的には「店長とそれ以外のスタッフ」でいいと思います。
役職階層は極力少なくして、担っている役割と役職を一致させるようにします。
チームマネジメント4つのポイント
役職をたくさん作らなくても、チームマネジメントのポイントを押さえていれば効果的にお店というチームを1つの方向に向かわせることができます。
まずは目標設定、役割の明確化、手順(仕事の進め方)の設定、対人関係の質という4つのポイントを意識してみましょう。
この4つが言葉で説明できる程度に明確になっているかチェックしてみましょう。
目標はSMARTに
お店というチームを1つの方向に向かわせるために目標設定はとても大切ですが、効果的な目標設定をするためにはいくつかの要件があります。
【S】Specific 明確な
【M】Measurable 測定可能な
【A】Attainable 実現可能な
【R】Relevant 関連した
【T】Time-bound 時間軸のある
目標を立てる際にはこの5要件のチェックリストに照らして、適切な目標を立てられているかチェックしましょう。
従業員のモチベーションを上げるために熱く語ってはいけない
従業員のモチベーションを高めようして、いきなり会社の良さや仕事のやりがいを熱く語ったりしていませんか?
これは逆効果です。
モチベーションを上げるには常に相手主体の関わり方、話し方をすべきです。
上司が従業員のモチベーションを上げるためにできることは、本人のことを中心に考えた適切なコミュニケーションです。
お店の従業員による売上金の着服を防ぐ
紛失を装って着服するパターンと会計伝票を操作して着服するパターンの大きく2つに分けられます。
着服されたお金の回収は非常に難しいので、着服されないような体制を作っておくことが肝要です。
「従業員を信じる」とか「不正をしたが更生を信じてもう一度チャンスを与える」と口で言うのは簡単ですが、経営者はそのことによって他の従業員のモラルやモチベーションの低下にも配慮しなければなりません。
「不正は起こるもの」と考えてその予防に力を入れ、従業員を不正に走らせない努力が必要なのです。
バイトテロによるSNS炎上を防ぐ
こちらも近年店舗経営者の頭を悩ませている問題で、アルバイトが店舗内で撮影した不適切な動画や画像をネット上にアップして炎上するというものです。
一部で「時給を上げたらバイトテロは無くなる」という主張もありましたが、まったく当てにならない主張です。
バイトテロを防ぐには多面的なアプローチが必要で、制度やシステムなどのハード面と、教育や文化などのソフト面から不適切な行為が起こらない雰囲気を作っていく必要があります。
以上です。
店長という仕事は覚えること、考えること、やるべきことがたくさんあって大変な仕事ですが、自分の行動がお店の業績となってダイレクトに返ってくるやりがいのある仕事です。
業績を上げられる店長になるため、この記事が少しでもお役に立てばうれしいです。