お店の中に店長以外の役職を設けている会社はどれくらいあるでしょうか。
ステップアップを感じさせたいとか、役割を分担したいとか、色々と考えはあると思いますが、私は基本的には「店長とそれ以外のスタッフ」でいいと思います。
実際にあった多過ぎる役職階層の例
私が以前コンサルティングをしたキャバクラでは、なんと1つの店舗に役職が8つもありました。
店舗責任者
店長
副店長
チーフマネージャー
マネージャー
サブマネージャー
主任
ウエイター
もうわけが分かりません。店長は店舗責任者でしょう。
すぐに担っている役割に合わせて店長、マネージャー、ウエイターの3つに減らしましたが、役職が少なくなったことで起きるデメリットはありませんでした。
役職階層を増やすデメリットは多い
抜擢人事がやりにくい
優秀なスタッフを抜擢しようとすると、それまで上司であったスタッフを飛び越えることになり、飛び越えられたスタッフが不貞腐れるということが起きます。
階層が多いと飛び越えられるスタッフの人数も多くなり、誰が不貞腐れるか分かりませんし、集団で不貞腐れるかもしません。
放っておいてもいいのですが、嫉妬が無用のトラブルを引き起こすこともあるので気を付けましょう。
一度上げた役職は下げにくい
昇格は簡単ですが、給与への影響が軽微だとしても降格はとても難しいです。
降格させる時にはそのスタッフが辞めるという覚悟が必要です。
さらに役職と一緒に給料を上げることがほとんどだと思いますが、お店の固定費を上げてしまうことになり、その固定費も下げにくくなるということです。
つまらないプライドが醸成される
たくさん作られた役職の間にさほど能力や権限の差など無いにも関わらず、役職の上下にこだわるつまらないプライドが醸成される傾向にあります。
これはとても滑稽です。
意思決定スピードが落ちる
これはどんな企業にも言えることですが、管理階層が増加すると意思決定スピードが落ちます。
大事なことは機敏な反応と迅速な行動であって、格好をつけることではないはずです。
役職に関する基本的な考え方
役割と役職を一致させる
役職や肩書は勲章ではなく、その人の能力をお店のために最大限発揮するためには、その役職に居るのがよいと周囲が認知した期間だけの一時的な役割です。
つまり役職というのはお客様に良いサービスを提供するための機能に過ぎず、サービス提供のための定まった役割もないのに役職を作ることは意味がありません。
階層を減らして極力シンプルにする
人間というものは一度上下関係が付くと、それをいつまでも引きずってしまうものです。
店舗をまたいで組織の人材を流動的に動かすこともあるので、上下関係を極力作らないシンプルな役職階層が望ましいです。
役職はモチベーションにならない
昇格した時に一時的にモチベーションが上がることはあっても、その役職自体でモチベーションが続くことはありません。
特に多過ぎる役職を用意していると、役職が上がってもさほどやる仕事は変わらず、すぐに元の状態に戻ってしまいます。
いかがでしたでしょうか。
適切な人事制度は組織の大小や成長性の有無、業種業態によって異なりますので一概に「こうすべき」とは言えませんが、少なくとも1つのお店の中に多くの役職階層を設けるのはお勧めできません。
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