店舗を経営していて避けて通れないことの一つに、従業員による不正行為があると思います。
信じていた従業員にお店のお金を着服され、「まさかあいつが…」と人間不信になられた経営者も多いのではないでしょうか。
着服のパターンは大きく2つ
紛失を装って着服
売上金を入金する前に紛失したり、レジのお金が足りなかったりと、すぐにお金が足りないと分かる方法での着服です。
「お金を紛失しました」と報告してくるので信じてしまいそうですが、経験上、大きな金額のお金を紛失した従業員が実際は着服している可能性はかなり高いです。
そして「毎月少しずつ返済する」と言いながら、ある日突然いなくなります。
会計伝票を操作して着服
レジ担当者が会計伝票を作らずに、または意図的に注文を付けずに、差額の売上金をそのまま懐に入れてしまうという方法の着服です。
こちらは発覚までに時間がかかり、発覚したころにはすでに返済不可能な金額になっていることが多いです。
POSを使っていたり、カード決済だったりするととてもやりにくい着服方法なので、対策にはPOSの導入をお勧めします。
着服されたお金は回収できるのか
少額であれば回収は十分可能ですが、金額が大きくなってくると非常に難しいです。
着服する従業員はお金に困っている人間が多いので、発覚してもお金を返せないことがあります。警察に被害届を出しても、本人にお金が無ければ返済はできないのです。
親に返済させるというのも考えがちですが、身元保証人になっていない限り親に返済義務はありません。
一度着服した従業員の更生はほぼ不可能
よく「盗みグセは病気に近い」と言われますが、本当にそう思います。
一度着服した従業員の再犯率は非常に高いので、お金の管理をさせることはやめた方がよいです。
本当は解雇するのが一番ですが…。
着服は未然に防ぐことが重要
着服されたお金を回収することが難しく、従業員の更生も不可能となれば、そもそも着服できないような体制にしておくしかありません。
お金を管理させない
一度でも紛失や着服をした従業員には、お金を管理させないことが大切です。
人員体制上、どうしてもまだお金の管理をさせなければならない場合は、報告を徹底させて監視します。
POSシステムを導入する
POSを使っていると伝票をレシートプリンタで発行するので、注文を入力しないで顧客にお金を請求することができません。
売上の取り消しは必ず記録に残るので、不正をしたとしても発覚しやすくなります。
さらにクレジットカードや電子マネーを使ってキャッシュレス決済にすると着服はほぼ不可能です。
防犯カメラを付ける
レジの真上に防犯カメラを付けることで不正の牽制と証拠の確保ができます。
さほど費用はかからず、私のお店で導入している防犯カメラは1台あたり月額1300円程度です。(カメラ本体代が別途2万円程度)
着服する従業員に共通する特徴
経験上、着服をした従業員はこのような共通点がありました。
ちなみに「一見真面目そうに見える」というのはあまり参考になりません。
面接時点で住む家が無い
面接に来た時に、「住む家が無いのですが寮に入れませんか」と聞いてくる応募者です。
なぜ住む家が無い状態になったのかを確認する必要があります。
日払いがやめられない
夜のお仕事を中心に、日払いを許可しているお店は増えてきていますが、月に1回の給料日で生活をやりくりできることが基本です。
お店で働き始めて数ヶ月経つのにずっと日払いをしている従業員は自分のお金の管理ができていないということです。
35歳以上
ただ単に35歳以上というだけでは何の問題もありませんが、上の2つの特徴に35歳以上という条件が加わるとさらに不正の確率は上がります。
35歳というのはそれまでの生き方がはっきりと表れてくる年頃であり、その年齢で家が無くて日払いがやめられないというのはそういうことなのだと思います。
いかがでしたでしょうか。
「従業員を信じる」とか「不正をしたが更生を信じてもう一度チャンスを与える」と口で言うのは簡単ですが、経営者はそのことによって他の従業員のモラルやモチベーションの低下にも配慮しなければなりません。
「不正は起こるもの」と考えてその予防に力を入れ、従業員を不正に走らせない努力が必要なのです。