交渉技術

経営学

交渉を有利に進める4つのポイントと実践テクニック

会社を経営していると「交渉」することがたくさんあり、その交渉の成否が利益という形で分かりやすく跳ね返ってきます。

交渉というのは技術であり、トレーニングで上達することができます。

この記事では、私がコンサルティング先の幹部や店長に交渉力強化の研修会を実施してきた中で、分かりやすくて「今日から使える」ようなポイントと注意点を紹介します。

交渉時に押さえるべき4つのポイント

交渉相手の代替案

交渉が決裂した時、その交渉相手にとってどんな代替案があり、それはどのような価値なのかを推測します。

例えば60万円で募集している店舗物件に入居の申込をしていて家賃を下げたい場合、他に申し込んでいる人が50万円で借りると言っているのであれば、それ以上に値引きをすることは難しくなります。

ですので交渉相手の譲れないラインは50万円ということになります。

自分の代替案

交渉が決裂した時、自分にとってどんな代替案があり、それはどのような価値なのかを把握します。

例えば同じような物件が他で55万円で借りられるのであれば、自分の譲れないラインは55万円ということになります。

この自分の代替案を交渉相手に知られてしまうと、当然自分の譲れないラインの近くで交渉を妥結させられてしまう可能性が高まります。

交渉可能な範囲

相手の譲れないラインと自分の譲れないラインの間が交渉可能な範囲ということなります。

今回の例では50万円から55万円が交渉可能な範囲です。

最初は相手の譲れないラインに近いところから条件を提示して交渉をスタートします。

分析の結果、交渉可能な範囲が存在しないこともあり、その際は時間の無駄になるので交渉を打ち切ります。

他の論点が無いか

相手と自分の利害関心に他の論点が無いかも探しておきます。

その際に相手にとっては重要だけれども、自分にとってはさほど重要ではない論点が見つかれば有利な交渉材料になります。

立場によって利害関心とその優先順位は違うことが多く、この違いこそが価値を生み出し、お互いに利益のある交渉が可能になります。

例えば大家さんはできるだけ早く入居してほしいという利害関心があり、自分としては入居の時期にはさほどこだわりが無い場合、「早く入居する代わりに家賃を下げて欲しい」という交渉ができます。

交渉の際の注意点

準備と情報収集に力を入れる

交渉は情報戦です。

相手の代替案を推測するのも他の論点を探すのも情報が無ければできません。

代替案を作る

交渉において代替案は交渉力の源泉であり、他の選択肢があればこそ、ここぞという場面で強気の交渉ができます。

準備段階~交渉中において、常に他の選択肢を作る努力をしましょう。

やり取りを記録に残す

口頭でのやりとりは証拠が残らず、後で「言った言わない」の水掛け論になる恐れがあります。

大事なことはメールやLINEなど、記録に残る媒体を使ってやり取りしましょう。

やわらかく丁寧に

人間は感情の生き物なので最初の相手に気分を害してしまうと、うまくいくものもうまくいかなくなってしまいます。

「相談なのですが…」「教えて頂きたいのですが…」と、低姿勢でやわらかく入ると相手から情報も引き出しやすいです。

強気で攻めるのはここぞという時だけです。

感情的にならない

ビジネスは感情ではなく勘定でするものです。

たとえ交渉相手の態度が不遜で不愉快だったとしても、淡々とその様子を記録していきましょう。

「もう怒った!損得抜きでとことんやってやる!」という姿勢を見せる時も、相手に表面ではその感情を見せながら頭では冷静に損得勘定をしておくのです。

交渉準備シート

交渉の全体像を整理するために使う交渉準備シートです。

抜けもれなく考えて準備するためには、頭で考えるだけでなく紙に書き出して整理することが大切です。交渉準備シート

今日から使える実践的なテクニック

ここで紹介するような交渉のテクニックは実践的で直接的な効果もある反面、交渉相手との信頼関係を損なってしまう危険もはらんでいます。

その交渉相手と長く良い関係を築いていくのであればあまり多用せず、誠実に交渉することをお勧めします。

逆に交渉相手がこういったテクニックを使ってきた時に、そのテクニックに動じずに冷静に対応できるという防衛策として知っておいて損はありません。

人の持つ認知や判断の特性を利用する

お世辞

媚びへつらい、お世辞などを多用し自分への好感を高め、自分への同調や譲歩を引き出します。

人は自分のことを褒めてくれる相手に対して厳しい態度を取りにくいものです。

ドア・イン・ザ・フェイス

いったん聞き入れられそうもない大きな要求を提示して拒否させ、その上で本当の要求を提示します。

人は何度も続けて相手の要求を拒否することに抵抗を感じるものです。

フット・イン・ザ・ドア

ドア・イン・ザ・フェイスの逆で、まずは相手が承諾しそうな小さな要求をいくつか提示し、その流れで本当に承諾してほしい要求を提示します。

人は一貫性のある行動を取ろうとする傾向を利用します。

疑似説得的主張

客観的で科学的技術に基づく主張ではないが、人が物事を信じやすくなる状況を作ります。

一貫性のある同じ主張を繰り返し続けたり、「〇〇さんもこう言っていた」と言ってみたり、相手に「本当にそうなのかな?」と思わせるのです。

相手をゆさぶり判断力を鈍らせる

ゲームズマンシップ

「イライラさせる」「交渉の店舗や態度を変える」「相手の自信を失わせる」「タフな交渉になることをわざと予測させる」などで、相手の冷静な判断力を奪います。

チキンゲーム

「もうこうなったら損得抜きでとことんまでやってやりますよ」などと言って、自分がいかに非合理的なリスクを恐れないかを相手に示して譲歩を引き出します。

感情の人質

意図的に激高した態度を取るなどして、相手を動揺させて冷静な判断力を奪い、交渉の主導権を握る方法です。

第三者がいる場合は世間体を気にする状況を利用して譲歩を引き出します。子どもがデパートなどで大声でダダをこねておもちゃを買ってもらうのに似ていますね。

蒸し返し

既に合意したはずの論点を様々な理由をつけて再度交渉の対象にします。

その結果相手をイライラさたり、新たな論点で合意したポイント以上の条件を提示しにくい状況を作ります。

グッドガイ・バッドガイ

2人組で交渉し、一方が厳しい要求や態度を示して相手を威嚇し、もう一方がそれをなだめ、仲裁する形で提案を行い相手に受け入れさせる。

刑事ドラマで厳しい取り調べをしている刑事と、「かつ丼食うか?」と優しい声をかける刑事のセットが出てくるあれです。

交渉のプロセスをコントロールする

アジェンダ・コントロール

交渉問題が複数ある場合、それらすべてを同時に扱うことはできないと理由をつけて、自分に都合の良い特定の問題から片づけていこうとする戦術です。

権限のないフリ

実際には1人ですべて決められるのに、自分には最終決定権限が無いことを合意直前に持ち出して合意を反故にしたり、追加的な譲歩を求める戦術です。

合意直前に持ち出すというのがポイントで、相手は諦めを誘います。

交渉者の交代

なんだかんだ理由をつけて当初の交渉者が退席して、代わりの者が交渉を継続することにより、交渉過程の一部をひっくり返す戦術です。

 

いかがでしたでしょうか。

ここでは分かりやすくするためにかなり単純化して説明しましたが、交渉の技術というのは本当に奥が深く学ぶべきことはたくさんあります。

しかし経営の現場においては完璧に学ぶよりもまずやってみることが大切です。

まずは今日からできる知識を仕入れ、それ実際にやってみて、その結果を振り返ることで交渉は上達していきます。

交渉力を学ぶための書籍

交渉についてもっと詳しく学んでみたい方はこちらの書籍を参考にしてみてください。

ハーバード×MIT流 世界最強の交渉術—信頼関係を壊さずに最大の成果を得る6原則

グロービスMBAで教えている 交渉術の基本―――7つのストーリーで学ぶ世界標準のスキル

スタンフォード&ノースウエスタン大学教授の交渉戦略教室 あなたが望む以上の成果が得られる!

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