お店のアルバイト従業員による不適切な動画がSNS上で拡散されて炎上する事例が後を絶ちません。
バカッター、バカスタグラムなどの言い方がありましたが、最近では「バイトテロ」という呼ばれ方をしています。
その内容は、冷蔵庫の中に入ったり、ゴミ箱に捨てた魚をまな板に戻したり、唐揚げを床に擦りつけてから上げたりと、どれも衛生上かなり問題があり、炎上がきっかけで閉店になってしまったお店もあります。
時給を上げたらバイトテロは無くなるか
一部に「時給が安すぎたから」という論調がありますが、その論理の因果関係には首をかしげたくなります。
これまでの炎上事件を見ていると「時給や待遇に不満があってやった」というよりは、「悪ふざけでやった」ケースばかりです。
この論理であるとすれば高い時給で求人を出したら応募が増えるので、そこからまともそうな人を選んで採用できるということだと思います。
しかし、慢性的な人手不足で同業他社のお店も時給が上がっている環境で、自分のお店だけ抜きんでた時給を出す体力があるお店がどれくらいあるでしょうか。
バイトテロを防ぐには多面的なアプローチが必要
バイトテロを防ぐのに「これ!」といった解決策はなく、複数のアプローチを組み合わせて発生する確率を下げるというのが現実的なところです。
制度やシステムなどのハード面
監視カメラを付ける
見られているかもしれないというのは不適切な行為の抑止力になります。
しかし、ただ監視カメラを付けるだけだと従業員を「信用されていないのか?」という気持ちにさせ、モチベーション低下につながります。
なぜ監視カメラを付けるのかをしっかりと説明し、「何かあった時に従業員の人たちを守るもの」だという事を伝えておく必要があります。
オープンキッチンにする
お客様から見えない場所があるから緊張感が無くなり、だらけたりふざけたりしてしまいます。
勤務中はいつでもお客様から見えるような店舗レイアウトにしておくと、不適切な行為がされる確率はかなり下がります。
スマホ持ち込み禁止にする
不適切な動画が作成されないように、勤務中はロッカーなどにスマホを閉まっておくというものです。
ただし、動画に撮ってアップされなければよいかと言うとそうではなく、少なくとも炎上はしないと思いますが、あんな衛生管理をしていたらどこかで食中毒を出してしまうと思います。
そもそも不適切な行為がなされないように監視・教育することが重要です。
SNSを監視する
投稿してから炎上するまでにはタイムラグがあり、投稿即炎上というパターンは少ないので、炎上の火種を早く見つけて対処するというのは効果的です。
企業規模が小さく従業員数が十数名程度でしたら、それぞれのSNSをフォローして不適切な投稿が無いかチェックしておくということも可能です。
私は割とコンサル先の従業員の方とも個人的にSNSでつながっていたので、過去に有名人の来店情報をツイートしているのを発見してすぐに消去させると同時に、全社にSNS炎上防止の注意喚起をするということがありました。
従業員数が多い企業であれば、風評被害・炎上対策などを手掛けているリスク管理の会社があるので、プロに依頼するというのも一つです。
教育や文化などのソフト面
リスクの低い人を採用する
採用の段階で「この人は炎上しそう」と見抜くのはなかなか難しいことですが、これまでの炎上事件は明らかに若い年代(高校生~大学生)が引き起こしているので、仕事内容によっては主婦や年配の方を中心に採用します。
私のお店は体力や俊敏さが必要ないので、30~40代の方にパートに入ってもらっていて、炎上事件を起こしそうな人は一人もいません。
教育は本人目線で行う
SNSに関する運用規定やルールを定めている企業はたくさんありますが、最も大切なことは自分事として認識させることです。
炎上したら本人の人生に多大な悪影響があり、それはネット上でずっと残り続ける
ということを理解させておくのです。
今のネット社会ではいとも簡単に本名、顔、学校、勤務先、住所などが特定され、それがすごい勢いで拡散されます。
過去に炎上事件を起こした専門学校生は退学になり、周囲から「炎上した奴」と見られて外出するのも怖くなって引きこもりになってしまったと聞きます。
就職はもちろん、その後の人生に多大な負の影響を与えることになったのは言うまでもありません。
愛着感を持たせる
従業員に店長やお店のことを好きになってもらうことはとても効果的です。
従業員がお店や店長のことが好きで大切に思っていれば、不適切な行為をしたり、その様子をSNSにアップしたりして炎上させるようなことは起こりにくくなります。
従業員に好かれるコツ:【キャバクラ店長流】従業員に好かれる人間関係づくり5つのコツ
バイトテロを防ぐのに唯一無二の特効薬みたいなものはなく、不適切な行為が起きないような制度やシステム、お店の雰囲気を作っていいくことが大切です。
ネット風評被害対策のエルテス社は、webサイトの中でどのようにSNSの監視やリスク感知をしているか、事例を含めて紹介しているので参考にしてみてもいいかもしれません。