店舗ビジネスで独立開業を志す方には、ぜひとも物件を見つけてから退職することをお勧めします。
物件はすぐには見つかりませんし、仕事を続けながら起業準備をすることは十分可能です。
物件探しは時間がかかる
自分のビジネスにちょうど良い物件はそうそうあるものではありません。
広すぎたり狭すぎたり、坪単価が合わなかったり、「これだ!」という物件はそうそう出てこないと思っておいた方がいいでしょう。
そして希望の物件が見つかって申し込んだとしても、その物件の入居審査に通るとは限りません。
業種でNGが出る場合もありますし、特に1店舗目の開業は家主さんが倒産を懸念して入居審査が厳しくなる傾向があります。
私の場合は8月から物件を探し始めて、希望の物件に巡り合ったのが12月、そこから紆余曲折あって入居が決まったのが2月、契約完了が3月でした。
物件探しに6ヶ月くらいはかかると考えておいた方がいいでしょう。
物件選びはビジネスの成功を左右するので妥協できない
ちょうどよい物件はなかなか出てこないとは言いましたが、だからと言って簡単には妥協できません。
最寄り駅の利便性、近隣のターゲット人口、物件の視認性、固定費となる家賃など、店舗ビジネスにとって立地とスペックは、その成功を左右するといっても過言ではありません。
始めようとしているビジネスが本当にその物件で成り立つのか、相当厳しい条件のシミュレーションをして判断する必要があります。
不動産物件は契約が完了するまで安心できない
物件が見つかって契約書を交わすまでは何が起こるか分かりません。
私の場合は12月に見つかった物件に申し込みを入れて、家賃やその他の条件を交渉し、おおむね合意していたのですが、契約直前になって間にもう一社不動産会社が出てきて、
「その条件で承諾していない」
と言い出しました。
その交渉の過程があまりにも不誠実だったので、再度その物件の交渉をしながら他の物件を探し出しました。
結局は2月に新しく見つかった物件に入居することになったのですが、その物件でも入居審査OKの返事が出た後に、
「申込書面の家賃値下げ希望を見てませんでした。家賃の値下げは難しいです」
と言われました。
契約直前になって条件を上げるのは不動産の常套手段なのでしょうか。
とにかく不動産の契約は契約書にお互いが印を押すまで何が起こるか分からないので、物件が見つかったからと言って見切り発車で会社を辞めてしまうのはお勧めできません。
物件が見つかるまでさほどできることが無い
店舗ビジネスは物件が見つかって具体的にお店を作っていく段階になるまで、できることがさほど多くありません。
基本的にはビジネスプランの作成と物件探しだけです。
ビジネスプランは日ごろから頭の中にあるものをまとめて書き足していくだけですし、物件の内見も毎日入るわけではなく、1時間もあれば十分できるので、仕事を続けながらでも起業準備は可能です。
なにより収入が途絶えて、お店がオープンするまで資金が減り続けるだけの日々は精神的にもキツいです。
私の場合は会社を辞めてから1ヶ月半で店舗をオープンさせることができ、コンサルの仕事も別で受けていたので多少マシでしたが、それでもものすごい勢いで開業資金にお金が減っていくのは辛かったです。
いかがでしたでしょうか。
物件探しは店舗ビジネスの成功を左右するので、時間をかけてでも納得できる物件を見つけましょう。
そのためにはサラリーマンとして働いて収入を得ながら独立開業の準備をするのが得策だと思います。
なお物件を探す時にはGISを利用してマーケットの特性や規模を把握した上で、そのエリアに出店すべきなのかどうかを検討することが大切です。