マンガ『マネーの拳』は面白くてビジネス書としてもめちゃくちゃ役に立つという記事を書きましたが、『ナニワ金融道』も負けず劣らずとても役に立つマンガです。
学校では絶対に教えてくれない、しかしとても重要な世の中のお金やビジネスに関する知識や考え方が盛りだくさんです。
目次
こんな人におすすめ
ナニワ金融道には騙される人、搾取される人、破産する人がたくさん出てきます。
「人の振り見て我が振り直せ」ということわざにもあるように、マンガの中で債務者の失敗を学ぶことは、自分が同じ目に遭わないための予防になります。
・騙されたくない人
・自分で商売をしている人
・お金の怖さを甘く見ている人
・おいしい話にすぐ飛びついてしまう人
・金融業や不動産業で働いている人
もちろん反対側に騙す人、搾り取る人、追い込む人がたくさんでてくるので、悪い話に引っかからないようにするために、悪い人間がどんな考えで動いているか知っておくこともできます。
ナニワ金融道のあらすじ
主人公の灰原達之は金融の道を志し、大阪の街金(消費者金融)業者「帝国金融」に入社します。
最初の仕事は新規開拓で、そこで獲得した新規顧客の建設会社社長が不渡りを出し、連帯保証人になっていた娘さんを追い込んで回収します。
その非常な取り立てに良心が痛む灰原、しかし「金融業は自分の天職」と考えてこの仕事にのめり込んでいきます。
帝国金融が債務者をカモにしているように、帝国金融をカモにしてやろうとする債務者や同業者もいます。
2017年に積水ハウスが63億円をだまし取られたことがニュースになっていましたが、ナニワ金融道でも帝国金融が地面師にヤラれる話が出てきます。
そんな海千山千、有象無象、魑魅魍魎がはびこる金融の世界で、灰原は時には騙し、時には騙され、酸いも甘いも嚙み分けながら金融道を極めていく物語です。
経営や生活に役立つポイント
1990年から連載が始まったマンガなので、古い巻に載っている話は法律や条例が変わっていて知識そのものは使えない場合もありますが、商売の考え方や債務者が陥る失敗のパターンは普遍的で現代でも十分役に立ちます。
お金を貸して取り立てるだけではなく、債務者がどのようにビジネス(詐欺や悪事も含めて)を成功させるのかというシーンも描かれているので、ビジネスのヒントも得られます。
カモになるのはこんな人
主人公が勤める帝国金融は合法的に弱者から搾り取る街金業者です。
・焦っている
・知識がない
・人任せにする
・欲をかく
・自分の意見をはっきり言えない
こういう人はカモになりやすいので狙われるし、一度喰いつかれたら骨までしゃぶられます。
街金に金を借りたら終わり
街金からお金を借りなければならない事態になったら倒産は時間の問題です。
金策に時間の猶予が無くて焦っている人は確実に足元を見られてカモにされます。
もし自分がそのような状況になったら延命措置をするのではなく、会社をたたんでやり直す方が良いと思いました。
簡単に押印やサインをしない
物語の中で、灰原は社長(債務者)の代わりに現金を受け取りに来た社員に手形の裏書をさせます。
手形の裏買いというのは、支払いをすべき人(振出人)が支払うことができなかった場合に、裏書人が手形を所持する人に対して支払う義務が生じるというものです。
なのでこの裏書をさせられた社員は、社長が不渡りを出して追い込まれることになります。
契約書や手形の意味や内容をしっかりと理解しないまま、絶対に押印やサインをしてはいけません。
連帯保証人には絶対にならない
連帯保証人になるということは、自分自身がその借金をするのと同じことです。
お金を借りた人に財産があったとしても、債権者が連帯保証人に「返済してください」と言えば連帯保証人が返済しないといけないのです。
ナニワ金融道の中でもよく分からず連帯保証人になったばっかりに破滅の道に進んでしまう債務者が登場します。
ナニワ金融道に出てくる名言
街金は怖いからみな一番に払うんや!
灰原が債務者から提示された返済計画を金畑社長に報告したとき、その甘さに一喝されたシーンです。
そうです、怖いところには真っ先に返すんです。
貸金業法の改正で取り立てはソフトになったとはいえ、貸金業者にとって債権の回収は死活問題ですから、法律すれすれ、ぎりぎりのところでえげつない回収をするものです。
人はおのれの利害がからんでこそ本気になるもんやで!
融資している市長候補の選挙速報を見る時に、金畑社長が放った一言。
経営をしていると色々な儲け話や提携話が持ち込まれることが多いと思いますが、それらの話を信用できるかどうかは、その利害が矛盾なく一致しているかで判断できます。
「あなたのために」だけで寄ってくる人は信用できません。
こういう得意絶頂の時にツケが回って来るんですわ
一度は倒産夜逃げして町工場で働いていた債務者薄井に、灰原が自宅にパソコンを置くだけで儲かる仕事を紹介してやっていたところ、わずか1ヶ月でそのビジネスが破たん。
そのことを言い出しにくい灰原に対して債務者の薄井が察していった一言。
この後薄井はまた夜逃げをすることになるのですが、帝国金融が用意した夜逃げ資金1000万円も最初は断るほどの男気を見せます。
過去の栄光を懐かしんでてどないするんや、要はこれからやないか
この男(左)、要チェックです。
名を肉欲棒太郎と言い、もともとは地上げビジネスで成功していたのですが、灰原を通して帝国金融に金を借りたことがきっかけで破産し自社ビルを取られ、夜逃げする羽目に遭います。
しかしそこからまた這い上がるためにノミ屋で集金係りをやりながらチャンスをうかがっていました。
そして広島で新しくビジネスを立ち上げる時に、かつての部下からしょぼいほったて小屋の事務所について言われた時の一言。
肉欲は夜逃げの時の潔さとい言い、ヤクザが経営するノミ屋を抜ける時の覚悟と言い、かなり男気と商才溢れる経営者で、この男の話を読むだけでもナニワ金融道を読む価値があります。
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Kindle Unlimitedに登録すると全巻無料で読めます。(2024年4月現在)
30日間の無料体験期間があり、その間に読み終えて退会すれば料金はかかりません。
肉欲棒太郎の再起が読める新・ナニワ金融道
『ナニワ金融道』では中途半端なところで終わってしまう肉欲棒太郎ですが、『新・ナニワ金融道』で再登場し、灰原達之と読みごたえのある対決を見せてくれます。
こちらもKindle Unlimitedに登録すると全巻無料で読めます。(2024年4月現在)
ドラマ『ナニワ金融道 1発目 〜灰原、帝国金融の門を叩く!〜』
監督:藤澤浩和
出演:高杉真宙, 加藤雅也, 早織。
帝國金融に面接に来たつもりが、いきなり追い込みの現場に連れて行かれた灰原は、その厳しさに面食らいながらも、金融屋として懸命に働き始める。最初に任されたのは、建設会社を経営する高橋健一(河屋秀俊)からの300万の融資の依頼。娘の正子(早織)は区役所に勤務する公務員で、公務員なら退職金などで金を回収しやすいと判断した金畑は融資を決定。灰原と桑田は早速高橋の元へ向かい、言葉巧みに娘を連帯保証人にする。しかし、程なくして返済が滞ると、灰原たちは娘をターゲットに定める。正子を尾行し、高橋親子の隠れ先を特定した灰原と桑田。ついに灰原初の追い込みが始まる-。