コロナウイルス感染拡大のクラスターになっているとの指摘で営業自粛や営業時間の短縮を要請されたキャバクラやクラブといった夜の業界で、オンライン化されたサービスが話題になっています。
私も大学生時代のアルバイトから10年以上キャバクラ業界に関わっていたので、オンラインキャバクラの動向は気になるところです。
そこで中の人目線でオンラインキャバクラのメリットデメリットを考えてみて、ついでに利益予想もしてみました。
目次
オンラインキャバクラとは
ZOOMやSkypeなどのテレビ通話アプリを使ってキャバ嬢と会話ができるサービスで、チャットレディにも似ていますが、チャットレディほどアダルト寄りではありません。
サンデージャポンで紹介されて話題を呼んだズムキャバは、営業自粛で大打撃を受けているキャバ嬢さんたちの生活費を稼ぐのに役立てばとサービスを開始されたそうです。
料金設定
上記で初回したズムキャバはセット料金3,000円(正式オープン後は4,000円)、指名料2,000円というのがサービスを受けるのにかかる料金です。
もう一つのオンラインキャバクラサービス「澪」はもう少し安価なようです。
オンラインキャバクラのメリット
お店に行かずにweb上でサービスを提供する、受けられるというのは、コロナウイルス感染のリスクを回避する以外にもメリットが多いです。
ユーザーのメリット
繫華街への外出自粛要請で飲みに行けない男性陣にとって、オンラインでもキャバクラを楽しめるというのは素敵なことです。
高級店のキャバ嬢と格安でトークできる
ズムキャバのキャスト一覧を見ると、歌舞伎町のジェントルマンズクラブのような高級店のキャストさんも在籍しています。
ジェントルマンズクラブで指名で1時間遊ぼうと思ったら、ドリンク無しでも20,000円ちかくかかります。
そんな高級キャバクラのキャバ嬢さんと1時間5,000円でトークができるというのはとても大きなメリットだと言えます。
ぼったくりに遭わない
お店に行かないので怖い人に囲まれる心配もなければ、明朗会計でドリンク代やサービス料がかからないので、表示されている金額だけLINEPayなどのオンライン決済で支払えばOKです。
後から会計を見て驚くような金額を請求されるリスクはまずありません。
なんか最先端な気分になれる
「オンラインキャバクラやってみた」という方の投稿を見ると、普段はキャバクラには行かない方も多いようです。
普通に「キャバクラ行った」と言ったら眉をひそめられるかもしれませんが、今「オンラインキャバクラやってみた」と言ったら情報感度が高くて行動力がある人という評価を受ける気がします。笑
キャバ嬢のメリット
自宅で待機~接客できるのはとてもメリットが大きいです。
既存顧客のつなぎ止めを収益化できる
人は「会えば会うほどその人のことを好きになる」という性質があり、逆に考えると会わない、連絡を取らない期間が長くなると気持ちが醒めてしまうものです。
なので営業を再開した時にまた指名でお店に来てもらうには、営業自粛でお店を休んでいても顧客とは連絡を取り続けなければなりません。
もちろんその連絡のやり取りに時給は発生しません。
その連絡をオンラインキャバクラでやることで既存顧客のつなぎ止めを収益化できるというメリットがあります。
地方在住でも時給4000円
全国どこに住んでいても同じ給料形態なので、わざわざ家賃の高い大都市に住まなくても時給4,000円が実現できます。
ただし”指名料は全額バックなので、指名の場合は時給4000円!!”と書いてあるので、指名なしの場合はおそらく時給2000円でしょう。
新規顧客の開拓ができるかも
オンラインキャバクラという珍しさと、1時間3,000円~5,000円といった安さで、これまでキャバクラに行かなかった層も含めて新規顧客を開拓できる可能性があります。
コロナが終息してお店に復帰した時に、実店舗に来てくれる顧客になるかもしれません。
おさわりされない
実際のお店だとお客様の横に座って接客するので、どうしても触ってくる人が一定数います。
おさわりをうまくかわしながら気分よく飲めるように接客するのもキャバ嬢の技術なわけですが、オンラインならおさわりをされる心配がゼロというのは安心ですね。
ノンアダルトのチャットレディも選択肢の一つ
今お店が休業で働けていないキャバ嬢さんだけでなく、飲食店などのアルバイトが無くなってしまったキャバクラ未経験の女性は、最大手のDMM系列のFANZAライブチャットに登録するのも一つの選択肢です。
オンラインキャバクラは経験者の採用を重視していますが、ライブチャットは接客初心者でも大丈夫です。
ノンアダルトのライブチャットは会話をするだけなのでオンラインキャバクラとほとんど変わらないのですが、固定客がついて売上が上がるとかなり高額の時給や月収を得られる可能性があります。
オンラインキャバクラもライブチャットも、まずは登録してみて色々試してみるといいと思います。
お店(運営者)のメリット
オンラインでキャバクラを運営するメリットはお店にとっても大きなものです。
固定費が安い
店舗や黒服が不要なので、固定費(=リスク)を極限まで低く抑えられます。
店舗の家賃は1坪10,000円~50,000円くらいします。
しかもオンラインで無限に在籍、出勤を増やせるということはマッチングをする人の人件費さえ回収できれば、出勤を増やした分だけ利益になるということです。
変動費がコントロールできる
オンラインキャバクラで時給が発生するのは接客した時間だけなので、変動費が非常にコントロールしやすいです。
実店舗でキャバクラをやっていると、お客様の入り状況に関係なく、当然待機中にも時給が発生し、完全に変動費化するのはとても難しいのです。
風営法の規制を受けない
キャバクラというビジネスは風俗営業法の管轄下にあり、お店の場所、内装、営業時間、宣伝など、多くの規制を受けて営業しています。
お店をオープンするのにも風営法の許可を取るのに2~3ケ月かかりますし、営業時間は深夜1時を超えて営業できないことになっています。
風営法に違反すれば最悪の場合3ケ月以上の営業停止にされます。
その規制を受けずにすぐにサービス提供を開始できるというのは大きなメリットです。
オンラインキャバクラの課題
メリットの多いオンラインキャバクラですが、一方で店舗型のキャバクラが提供していた価値を提供できないという課題もあります。
接近接客ができない
キャバクラの魅力の一つに、露出の高いドレスを着たきれいな女性が横に座って至近距離で接客してくれるというのがあります。
これがあるからトークがさほどこなれていない初心者のキャバ嬢さんでも、お客様を楽しませて会話を弾ませるきっかけができるのです。
ズムキャバでは経験者のみを採用しているようですが、皆が皆トークだけ、しかも対面接客で勝負できるものかどうか。
あと、一緒に酔って仲良くなって何かあるかも?の期待がほぼ無いというのも難しいところです。
一応澪のHPには「連絡先交換OK」と書いてありましたが、シャンパン入れて一緒に酔っ払って「この後アフター行こう」みたいな流れにはならないですよね。
指名係がいない
実店舗のキャバクラだと指名係(つけ回し)といって、フリー(指名キャストがいない)のお客様にどのキャストさんをどの順番で付けるかなどを考える役割があり、常にお客様やキャストさんの顔色を見ながら相性が合っているかチェックしています。
なのでしっかりした指名係がいれば、お客様は初めて行くキャバクラでも楽しめますし、キャストさんも自分に合ったお客様に付けてもらえて指名を取りやすくなります。
指名係については、かなり属人的で個人の能力に依存する部分が大きいので、競争優位性になる一方で育成が難しかったり、力のある指名係が退職してしまうと売上が一気に落ちるというリスクもあります。
この属人性を排除できるなら機会ととらえられるかもしれません。(その代わり参入障壁は低くなる)
接待の経費で落とせない(たぶん)
キャバクラでの飲食代は接待交際費として損金処理できますが、自宅などで1人で行うオンラインキャバクラだと難しいのではないでしょうか。
5,000円なら「会議費」で行けるのか?いやー…
家族持ちは利用しづらい
実店舗のキャバクラであれば出かけていくので家族にバレる心配はありませんが、家族のいる自宅でオンラインキャバクラのサービスを受けるのは困難であることは容易に想像できます。
そもそもなぜ人はキャバクラに行くのか?
キャバクラに行かない人は「キャバクラの楽しさが分からない」という方も多いですよね。
なぜ人は高いお金を払ってキャバクラに行くのでしょうか。
私は
自己肯定感(自尊感情)が高まるから
だと考えています。
そしてこの自己肯定感の構成要素を分解した学者さんがいて、それは有能感、重要感、好感だと言っています。
有能感
自分のことを有能だと感じる気持ち。
世の中にはお金をたくさん稼いでいても、それだけでは満足できない方もたくさんいます。
綺麗な女性を横にシャンパンを入れて、「俺はこんなにお金を使えるんだ」というのを再確認したり誇示したりすることで、自分が有能な人間だと感じることができるのです。
重要感
自分のことを重要だと感じる気持ち。
お店の常連になれば重要人物として扱われますし、売れっ子キャバ嬢の多くは聞き上手なので「自分の話をちゃんと聴いてくれている」と感じられます。
たとえ自分が話したいことがあっても、まっとうな大人で1時間自分の話ばかりできる人がどれだけいるでしょうか。
キャバクラであればそれが思う存分できるのです。
好感
自分のことを好意的に感じる気持ち。
キャバクラに行けばキャバ嬢から好かれていると感じることができます。(もちろん人として魅力的で本当に好かれている人もたくさんいますよ)
楽しい仲間と一緒にキャバクラで盛り上がるというのもあります。
綺麗な女性に好かれていて(と思っていて)、楽しい仲間と盛り上がれる自分というのは、やはり自分のことを好意的に感じられるでしょう。
キャバクラで得られる自己肯定感が本物の自己肯定感かどうかはさておいて、この価値をしっかりとトークで提供することができれば、接近接客やもしかしての期待が無くてもユーザーに満足してもらえるのではないかと思います。
オンラインキャバクラの利益を予想
では、オンラインキャバクラって儲かるのでしょうか。
オンライン店舗での売上
この記事を書いている4月14日の出勤人数をズムキャバで見てみると12人となっており、待機時間も含めて1人4~5時間くらい働くようです。
セット料金は3,000円で指名する場合には+2,000円。
時給は指名なしで2,000円、指名ありで4,000円だとすると、1人1時間あたり1,000円が運営側の粗利益ということになります。
1日の粗利益:12人×4時間×1,000円=48,000円
1ヶ月の粗利益:48,000円×30日=1,440,000円
ただ、稼働率が100%ということは無いと思うので、60~70%くらいと仮定するとだいたい100万円くらいでしょうか。
アフィリエイト売上
求人ページを見るとライブチャットへのアフィリエイトリンクが貼ってあります。
調べたところ、この案件はチャットレディ登録で5,000円という内容です。
アフィリエイトはあまり詳しくないので予測が難しいですが、テレビやSNSで話題になって訪問者はかなり集まっていると思うので、
月間訪問者数20万人×女性率50%×チャトレ応募率1%×5,000円×承認率70%=3,500,0000円
350万円!?
え?いやどうなんでしょう?こんなに売上上がるものなのでしょうか?
女性の訪問者は求人ページ見るでしょうし、今の時期なら100人に一人くらいは「チャトレでいいかな」って応募するような気もするし…。
私が以前運営していたキャバクラのブログでも月間訪問者数5万人くらいいたので、これだけ話題になっていたら最低でもその4~5倍はあるでしょうし。
あと、料金システムのページにはDMMFXのアフィリバナーが貼ってありましたが、こっちはあまりコンバージョンしないんじゃないかなと思ってカウントしていません。(あ、これもDMM案件)
運営にかかる経費
サイト運営費:1ヶ月7,000円程度
ズムキャバのHPの下の方にサイト制作会社のリンクが貼ってあり、そこで制作と保守をしているようですが、だいたい1ヶ月7,000円程度の保守管理費みたいです。
人件費:1ヶ月300,000円くらい?
LINEで予約を受けてZOOMのミーティングを発行する作業なので30万円もかからないとは思いますが多めに。
最終利益
店舗売上100万円+アフィリ売上350万円-経費30万円くらい=420万円
420万円!?
訪問者数が多いのは一時的なものかもしれませんが、オンラインなので箱の大きさを気にせず在籍、出勤を増やすことができ、営業時間も長くすれば店舗売上もまだまだ増やせると思います。
ちょっと楽観的な数字が出過ぎて全然自信が無いですが、ズムキャバさんはかなり儲かってらっしゃるのではないかと予想しました。
コロナが終息した後も継続できるかという問題もありますが、もし存続できなかったとしても撤退コストが非常に安いのでほとんどダメージが無いのではないでしょうか。
でもやっぱり予想に自信が無いので、何か知ってる方いたら「実はこうだよ」ってこそっと教えてください。
店舗経営.comではキャバクラの黒服向け社員研修を提供しています。
人材育成で競合他社に対して有利になれば、顧客満足度の向上だけでなく、キャストさんやボーイの入店率や定着率の向上も見込めます。