新店舗を出店する時、どのような基準でエリアを評価して出店を判断するのか明確な基準を持たずに決めてしまうのは危険です。
大手チェーンはどこの会社もやっていることですが、個人店や小規模企業の出店でもGISなどを活用して集客の根拠となる項目を数字で押さえておく必要があります。
GISとは地理情報システム
Geographic Information System の略で地理情報システムという意味です。
電子地図の上に人口、年齢、収入、購買データなど、様々なデータが載っていて、そのエリアのマーケットサイズや特徴を定量的に把握することができます。
店舗ビジネスにとって商圏の規模と特徴は非常に重要で、その成否を左右すると言っても過言ではありません。
GISで入手できるデータは豊富で有用
電子地図の上にデータが載っているので、エリアを選択して様々な項目のデータを入手できます。
人口情報
男女、年齢、学齢、昼間、夜間、などで分けて人口を把握できます。
自分のビジネスにとって対象となる年齢や性別の人口が何人いるのか、そのうちの何%が月に何回来店してくれればお店が成り立つのかをシミュレーションすることができます。
世帯情報
世帯人員数、世帯年収、持ち家かどうかなどの所有形態、戸建てか共同住宅か、何階建てかなどが把握できます。
特に世帯年収は購買力にダイレクトに効いてくるので外せないデータです。
商業情報
小売業の業種別・産業別・業態別の事業所数、従業者数、売り場面積、販売額などが把握できます。
競合状況を推測するのに利用できます。
就業者情報
自営業者、雇用者、産業別就業者などが把握できます。
ランチや居酒屋に集客したい場合は、昼間人口と併せて押さえておきたい数字です。
消費支出情報
種類別食料品消費金額、住居費、水道光熱費、家具・家事用品、服飾品、交通費、教育費、教養娯楽費など、消費に関するデータを1世帯当たりやエリア全体で把握できます。
そのエリアで何を売りたいかによっては競合状況が把握できますし、「〇〇が売れるエリアはうちの商品も売れる」というような相関性が分かっている場合は市場規模の把握に使えます。
データ活用は比較がキモ
GISデータは、ただ単にその数字を眺めただけではイメージが湧きません。
何かと比較することによってその規模感や特徴が分かってきます。
既存店のエリア数値と比較する
もし既存店舗があるのであれば、その店舗周辺のGISデータと、候補エリアのGISデータとを比較してみましょう。
既存店が複数あれば、さらに「この数値が高いところは成功しやすいエリア」などの傾向が掴めます。
同業他社のエリア数値と比較する
新規開業や新規事業で既存店が無い場合は、うまくいっていそうな同業他社のエリアのGISデータと、候補エリアのGISデータを比較します。
既存店がある場合と比べて予測の精度は落ちますが、何もデータが無いよりは格段に意思決定の精度が上がります。
データ購入にかかる費用は
こんなに様々な有用なデータを購入するとなるとやはり高いのかなと思われがちですが、意外なほど安く購入できます。
利用の契約形態でも変わりますが、私の場合は10万円以下で先々の出店にも使えるデータを購入しました。
どんなデータを入手する必要があるかは業種業態によって異なりますので、詳しくはGIS提供会社にお問い合わせください。
いかがでしたでしょうか。
数字を元に仮説を立てないと後から検証できないので、私はコンサルティング先の新規出店にもGISの利用を勧めますし、自社の出店にも必ず利用します。
数字があれば成功するというわけではありませんが、大失敗のリスクは軽減することができます。
また、なんとなくイメージで「ここは無いな」と思っていたエリアが、数字を見てみると意外に有りだったりします。